◇NPO法人「共に生きる国際交流と福祉の家」での講演C◇
それから私が一番心配しているのは、日本語、言葉そのものですね。僕の子どもの時代に習った時の言葉と、今の言葉とでは非常に乱れてきていると感じます。 程度が低くなったんじゃないかというふうに思いますね。日本の中だけにいる方はよくわからないかもしれない。外国へ出るとよくわかると思いますよ。外国の人たちがどういうふうに日本を見ているかということについて・・・、これは別に皆さんを悪く言うつもりで言うわけじゃないです。 他からどう見られてどういうふうに思われているかということを、知らなければ、自分が見えないと思うんです。井の中の蛙であり、ムラ社会であり、非常に閉鎖的な社会の中にいるものだと・・・。これは私が言うわけじゃありませんよ、これは、あるインドネシア人が言った言葉です。有名な方ですが・・・。 「日本人には裏表がある」「本音と建て前を使い分ける」「長いものには巻かれる」「権力者におもねる」「非常に迷信深く、日本がなしとげた近代化の呪文に縛り付けられてる」「性格が弱くて、生き残るためには偏差数にこだわる」・・・こういう解説で外国人は辛辣に日本人を見ているんです。これはやっぱり残念なことです。 私は在日ですけから、自分の国の良くない点もわかっています。何がいけないのか。また日本で生活をしてますから、日本の悪さもわかっています。合点するところがあった。非常によく言い当ててると思います。私も、そう感じています。情緒の問題ですから、これも1つ理解して・・・。表からどういうふうに見られているということがわかれば、自分がよく見えてくる、よくわかってくる。ですからインドネシア人の言葉を、まるっきり悪く聞かずに、前に光・希望・展望を見つける1つのきっかけになる言葉じゃないかと聞けば良いと思います。至らなさとか悪さをよく知っておりますから、耳の痛い内容もこの中にありますし、私たち韓国人にも当てはまるものもあります。 皆さんは韓国の人、朝鮮の人っていうと、何か野蛮国の人間みたいに・・・、朴正熙大統領以降は軍事政権であったため、非常に荒っぽい国、日本には理解できない国だというふうにお思いになったと思います。ですがそれは本当に一時でした。 日本から解放された後、北との問題、分断、あれは結局世界の冷戦の問題からです。そのもとをただせば日本との問題からこうなったわけです。決して韓国は軍閥で司るような国じゃありません。歴史上韓国は文の国です。不幸にして朝鮮戦争を経験したために、北とはまだ平和統一されていません。日本もそうですね、北とは平和条約がありません。韓国と同じです。 38度線を境にして、まだ戦争状態であるということも認識して下さい。これは重要な問題で、両国に関わりがあります。歴史上韓国は文を尊ぶ、文で司ってきた国であったということの認識を、ぜひともしていただきたいというふうに私はお願いしています。 韓国人の感情表現についてお話しますけれども、韓国の人はお話をしてるとすぐ喧嘩して・・・、さっき喧嘩したばっかりなのに、喧嘩終わった途端に仲良くして握手して、酒飲んでご飯食べるっていう・・・。ちょっと理解できないということを、よく日本の人たちに言われます。 私自身にも実はそういうところがあります。非常に喜怒哀楽の感情表現がストレートなんですね。要するに身体というか声が一体となって、表現する、それを抑えたり、飾ったり、そういうことができないというか、あんまり好まないという面がある。これは一般的な話ですから、韓国人全部がこうだというのではなくて、情緒を知る1つの手がかりにしていただければいいと思います。 オーバーアクションに見えるわけですけれども、映画なんか見るとよく理解できると思います。韓国の人はそれを普通の表現だというふうに理解して下さい。そんなに皆さん驚くほどの事ではありません。皆さんが驚くことに韓国の人が逆に驚いている、そう理解してもらえればいいんじゃないかと思います。 要するに感情というものをあんまり抑えないで、そのままストレートに人間関係を作っていくというところに、韓国の情の秘訣があるんじゃないかと思います。韓国人の「情」という一字を皆さんが理解して下されば、人間関係もスムーズにしっくりと、お互いに理解できる。 要するに韓国人はあまり飾らないということ、そういう素顔を出している。日本の文化も情の文化、素晴らしい文化です。中国の文化も同じ情の文化ですから根本的な良さは同じです。それぞれが持っている情の出し方、表現の仕方を、お互いに理解することが求められます。 Dにつづく |