◇開天節◇
一〇月三日は、韓国の建国記念日「開天節」である。光復五〇周年のこの日を祝う駐日韓国大使館主催の式典に出席した。金太智駐日大使が、「韓日の間には不幸な過去もあったが、解放五〇年を契機に両国関係のさらなる友好を期待する」と述べた。 また日韓議員連盟日本側代表の竹下登元首相は、「日韓両国は近くて遠い国≠ニいわれがちだが、近くて近い国≠ニなるよう在日の皆さんの力にも期待する」と乾杯の挨拶をされた。 その席で永井道雄元文部大臣と会話を交わした。昨年、故郷を同じくする先輩のお嬢さんの結婚式でお目にかかったことがご縁である。その時、土井たか子衆議院議長の祝辞につづいて挨拶されたのが印象に残っていたからだ。 「先生、お元気そうですね。」 「えゝおかげ様で。あなたもお元気そうですね。」 「はい。実は今日韓国から返りました。つい先日わらび座の公演を光州ビエンナーレで行ない、韓国の方々に大へん喜んでいただきました。」 「それはよいことです。両国が民族芸能を通して交流することは一番よいことです。これからもよろしくお願いしますよ。」 「私こそ、在日のこと、韓国のこと、よろしくお願いします。」 在日韓国人は、常に日韓の国家の狭間に立たされ、涙を飲む宿命を負ってきた。その狭間で苦しんできた。我々は国家の壁を越えて生きてゆきたいのだ。これからは、今の世界が抱える民族問題を解決するキーポイントを在日韓国人が握っているようだ。 「境界を越えて」。この遠大なテーマ。光州ビエンナーレにわらび座とともに参加した意味が多元的にとらえられるのである。 |