◇再び光州へ◇

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ケナリ(れんぎょう)が咲いた三月、私はわらび座の是永幹夫国際部長を 伴って、光州ビエンナーレ記念公演の可能性を打診するため再度光州を訪問した。
祝祭行事としての公演は世界六カ国を招待、日本からは一団体を招待するとの返事が返ってきた。いち早く準備していた資料を提出して、私の故郷のわらび座を推薦、招待を要請した。我ながら打った手が早かった。大へん好意的にわらび座が理解され、可能性は充分との感触をつかみ、公演決定が現実的になってきたのである。しかしその時にもまだ具体的に公式の資料および開催内容は把握できなかった。ソウルで内外記者会見があると聞きつけ、我々は急ぎソウルに飛んでその席に臨んだ。
姜雲太光州広域市長が公式に挨拶・発表したことで、光州ビエンナーレの内容が見えてきた。
「親愛なるみなさん。光州ビエンナーレの主題を境界を越えて≠ニしたのは、政治・宗教・理念を越えてきた人類が一つになろうという意味からなのです。過去の目に見えない対立と葛藤を芸術を通じて解いていこうという、世界の人々の切実な望みを託しているのです。
光州ビエンナーレは、光州の民主精神と芸術的伝統を基盤として、健康な芸術精神を尊重し、地球村時代、世界化の一貫として、東西洋平等な歴史創造と二十一世紀アジア文化の能動的な発芽のために、その責任を果たそうと思います。
 光州ビエンナーレは、世界のトップの美術家達が純粋な価値創造の新たなる芸術秩序創立のために互いに心の壁を取り除き手を結び合う文化芸術オリンピック≠ナあります。
二十世紀を締め切り二十一世紀を開く入口で、光州文化の優秀性を体系的に発展させ、光州を世界の芸郷として維持させ、世界の美術の水準をより高めようという世界的な美術行事である光州ビエンナーレを創設することとなりました。
 今年開催する第一回光州ビエンナーレは、来る九月二〇日から一一月二〇日まで、光州仲外公園において、世界五〇カ国のトップの美術家約一〇〇余名が参加する中、境界を越えて≠ニいう主題で催されます。」
西洋化より世界化へ、画一性より多様な民族文化を尊重する姿勢が明確に示された。

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